NO.02

新井さん

材料開発センター 第二材料開発部

材料開発で、低コスト、低燃費、環境負荷低減を実現

自動車に搭載されている電気・電子機器をつなぎ、電力や電気信号を伝送するワイヤーハーネス(以下W/H)は、その機能と車内をすみずみまで巡る様子から、神経や血管に例えられています。W/Hは電線を束ねて作るため、車両1台あたりの総重量は20kgにもなります。
私は現在、W/H用電線に使用される導体材料の開発に携わり、従来の銅電線からアルミ合金電線に置き換えることで、W/Hを軽量化させようとしています。車両が軽量化すると燃費が向上するのはもちろんのこと、環境負荷も低減します。また、銅よりも埋蔵量の多いアルミは安価で入手でき、製品の低コスト化を実現します。一方でアルミは銅に比べて導電率が低く、また、同じ断面積では強度が低下してしまいます。そのため導電率の低下を抑えつつ、強度を確保するための合金組成を検討したり、ラボレベルで検討したものが、実際の工場で量産可能かどうかを確認、検証しています。

製造プロセス設計には現場とのコミュニケーションが欠かせない

材料開発は合金組成を研究するだけでなく、製造工程でどう加工するかを想定して、プロセス設計することも重要な仕事です。私は前職で生産技術を担当していましたが、矢崎のアルミ電線製造の主な拠点は海外なので、現地の設備環境やそこで働く人のことまで把握して工程設計する必要があります。そのため年に一度は現地に赴いて、現場の生の声を聞くようにしています。すると開発段階では予測できなかった事態が発覚することもあり、後工程を意識した設計開発を行うことの重要性を改めて認識します。
現場の声が喜びにつながることもあります。私の設計で作業性や生産性が向上したとの報告を受けると、自分の仕事が必要とされていることにモチベーションが上がります。また、開発したW/Hを搭載した車が実際の道路を走っているのを見ると、社会に貢献していることを実感して大きなやりがいを感じます。
人々の生活を豊かにする新製品の開発・設計がしたい、グローバルに働きたいという理由で矢崎を志望したので、その両方が叶って充実した日々を送っています。

一人ひとりを大切に、成長を支援してくれる環境

矢崎のような大きな規模の会社では、個人の意見やアイデアは採用されにくいのではないかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。上司や先輩とのコミュニケーションが取りやすいため、本音で議論を交わしながら新製品の開発に取り組むことができます。また、国内の製造技術担当とも定期的に意見交換して、開発と製造の連携を取ることができます。このように、縦のつながりも横のつながりも大切にする社風が新しい発見を生み出し、個々の成長を促進するのではないかと思います。
自ら進んで挑戦する人に対しては、さらなる成長の機会が用意されています。そのひとつが「グローバル人材育成プログラム」です。これは海外で活躍したい人をサポートする教育プログラムで、例えば私が利用している「OJT職場英語」では、ネイティブスピーカーからビジネス英会話やメールの書き方などを学ぶことができるため、海外に1カ月出張することになった時も困ることはありませんでした。「ものづくり」は「ひとづくり」なくしては成り立たないという考えのもと、一人ひとりの従業員を支える環境が整っていることが、矢崎の魅力です。