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「矢崎グループ環境報告書2002」

トップ対談
環境にやさしい人、製品、会社を目指す。
矢崎祐彦 矢崎信二
「社会性ある企業」「世界とともに」を根幹に。

社 長:
会長はつね日頃から「環境の大切さ」を言っておられます。
この度、環境委員会委員長を引き継ぐに当たり、改めて会長の環境に対するお考えをお話しいただけませんか。

会 長:
「YAZAKI」の社是は「社会性ある企業」「世界とともに」であり、これは創立以来の一貫した思想です。
事業を起こす時、私たちは収益の問題よりも、その事業が「社会にどのように役立つのか」をつねに出発点としてきました。
まず人のため、社会のため、ということが大前提にあるわけです。
それはどんな時代であろうと普遍であると考えています。
何が求められ、どう応えていくべきか、その時々のニーズは変化しますが、根本をつねに見失わないことが何よりも大切なのです。
いま、自然環境の問題が企業の大きな課題であるわけですが、働きやすい職場、幸福な暮らし、健全な社会など、突きつめていけばすべては環境問題と言えると思いますし、これに立ち向かうのが企業の使命と考えているのです。
脈々と受け継がれている環境の遺伝子。

社 長:
「YAZAKI」は1970年代から廃電線や使用済み木製電線ドラム、ガスメーターなどのリサイクルに取り組んできました。
いわば環境問題に先がけて行動してきたとも言えるわけですが、発想的にはそれが社会のためになり、ものをムダにしないという点でしたね。

会 長:
それ以前にも、銅資源のリサイクルを図るためにトーマス炉というものを導入しました。
当時は周囲から成功を危ぶむ声も聞かれましたが、くず銅でも立派に資源になることを実証しました。
「YAZAKI」には人と社会の観点から、資源やエネルギー、製造工程などのムダ・ムリ、あるいは矛盾をなくしていくという伝統があり、それを私は『環境の遺伝子』と言っています。
それがいま、全グループの取り組みとして自然環境や廃棄物問題に向けられているわけです。
環境の時代へ歩んできたYAZAKI。

社 長:
「YAZAKI」は2002年にグループ全体を対象とする環境マネジメントをスタートさせました。
環境マネジメントシステムという側面からはまだまだ課題はありますし、今後整備を進めなければなりませんが、基本的な取り組みについての対応はかなり進んでいると思っています。
たとえば、先ほどのリサイクルもそうですし、ISO14001認証に対しても規格の発効以前から取り組みを開始して、現在では国内全生産事業所の取得をほぼ完了しています。

会 長:
正直に言えば、待っていた時代の到来を感じます。
「YAZAKI」の基本は環境であり、企業存立意義の根幹であるのですから。
21世紀になり、グローバル化が世界の大きな潮流になる一方で、国内外を問わず企業の倒産や不祥事が目立ってきています。
グローバル化は同時に、国際化社会の中での企業の存立意義、あるいは企業倫理が厳しく問われる時代だと思います。
グローバル化が進み、1社では対応できない複合的な技術を要求され、企業同士の協調が必要な時代、連携したいと思える企業はどのような企業か。
技術はもちろん、何より企業倫理のしっかりした企業ではないでしょうか。
そうした時代に向けて、これまでの「YAZAKI」は着実に歩んできたと思います。
社会に理解していただける体制を目指して。

社 長:
いま進めているグループ全体の環境マネジメントに、それがつながるわけですね。

会 長:
「YAZAKI」はこれまで、環境に配慮した生産活動、環境に良い製品づくりの実績があります。
しかし、環境問題の解決が社会要求である今日、全グループの姿勢や現実を社会に示す必要性が高まったという認識です。

社 長:
社会や時代の要求に的確に応えていくことが企業の使命であり、絶えず変化する要求に対して欠けているものがあるとすれば、それを満たす早急な対応に取り組んでいかなければなりません。
そのために新しい方針と行動指針、体制づくりに取り組み、より具体的に総合的に活動していくための全体目標となる環境取り組みプランをつくりました。
そして、環境側面の的確な把握とその実情を広く開示できるようにし、社会に理解を求めていくことが急務ですね。
また、もっとも重要なことは経営と環境の両立だと考えています。
環境問題は経営的視点に立って徹底的に取り組まなければ、企業の成長に結びつかない、それこそムダな投資になると思います。
さらに環境に取り組んでいくには、すべての社員が高い環境意識を持ち、自ら行動することが大切です。
そのためにも人づくりに力を注ぎたいと思います。
木を切ることの意味を知ることから。

社 長:
グループ環境マネジメントは国内の整備から着手していますが、将来、海外事業体へ展開していくにはどのような姿勢や観点が必要と思われますか。

会 長:
海外への展開では、たとえば木を切っている人を見て木を切るな、という姿勢は慎むべきです。
なぜ木を切るのか、そこから洞察をはじめないと環境問題の根本的な解決につながりません。
それぞれの国や地域には、その数だけの独自の文化や経済があります。
木を切るからには木を切るだけの理由があり、それはその人の生活や生存に関わることなのかもしれません。
環境問題の解決には、世界から貧困を撲滅しなければならないという側面もあります。
「YAZAKI」はこれまで東南アジアや中国、南米などの発展途上国に進出することで、雇用の創出を行ってきました。
パプアニューギニアから「YAZAKI」の工場をつくってほしい、そうすれば木を切らなくてすむ」という内容で要請を受けたこともあります。
まず基本的なことは現地の理解であり、その立場にたった環境対応でなければ意味がない。
それを踏まえた上で、グローバルな環境体制を整えていく必要があります。

社 長:
全従業員で社是の理解を一層深め、本報告書で着実な成果が社会に開示できるよう努力を重ねていきます。
また、グループ環境マネジメントの目的のひとつは、各事業所ごとに成長した『環境の遺伝子』をグループ全体に集約することだとも感じます。
今後も遺伝子を社内の財産とし、より大きく育てていきたいと考えます。
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